
トリコモナス膣炎は比較的知名度の低い性感染症なので、病気の症状や特徴を知らない人も多いと思います。
それほど有名では無い性感染症ではありますが、実は、日本の女性は高い確率でトリコモナスに感染をしています。
今回の記事では、トリコモナス膣炎の症状や特徴、潜伏期間などについて詳しく解説をしていきます。
トリコモナス膣炎とは?
トリコモナス膣炎とは「トリコモナス・バギナリス(trichomoniasis vaginalis)」という原虫(原生生物)が膣に感染することで発症する性感染症です。
「原虫」というのは動物的な性質を持つ微生物のことです。
「虫」という漢字が含まれていますが、一般的に虫と呼ばれる生物ではなく、ミドリムシのような単細胞の微生物的な生物です。
トリコモナス原虫は鞭毛を持っているので移動が可能で、日光や乾燥に非常に弱く、水分の多い場所を好む性質があります。
膣内でトリコモナス原虫が増殖することによって、トリコモナス膣炎を発症します。
トリコモナス膣炎の症状と特徴
続いて、トリコモナス膣炎を発症した場合の症状や特徴を解説していきます。
トリコモナス膣炎を発症した場合に起こる症状は下のようなものです。
- 子宮頚管粘膜に出血斑ができる
- 悪臭のするオリモノの分泌
- オリモノに泡ができる
- オリモノの色が黄緑色になる
- オリモノの量が増加する
- 性器のかゆみ・痛み
- 性交時の痛み
- 排尿時の痛み
- 下腹部の痛み
トリコモナス膣炎に感染した場合には、他の性感染症とは若干異なる特徴のある症状が表れるケースがあります。
特にオリモノの色の変化が特徴的であると言えるでしょう。
ここからは、上で紹介したトリコモナス膣炎の症状についてそれぞれ詳しく解説をしていきます。
子宮頚管粘膜の出血斑
トリコモナス膣炎に感染すると、子宮頚管粘膜に出血斑が表れることがあります。
出血斑の見た目のイメージとしてはいちごの表面のようなものです。
これは、子宮頚管粘膜に炎症が起こることによって発生する症状です。
子宮頚管粘膜は自分で見ることは難しいので、病院で検査を受けた際に出血斑が見つかるケースがほとんどです。
オリモノの変化・異常
トリコモナス膣炎を発症した際に表れる症状の中で、最も特徴的な症状が「オリモノの変化や異常」です。
トリコモナス膣炎に感染した際には、オリモノのにおいが生臭いものになるケースが多いです。
また、オリモノの色が黄緑色になり泡立ちがあるという特徴もトリコモナス膣炎の特徴的な症状です。
ここで紹介したトリコモナス膣炎時のオリモノの変化は一般的な変化であり、個人差があるので人によって症状に若干の違いが出ることがあります。
患部の痛みやかゆみ
トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が異常に繁殖して患部で炎症を起こす性感染症です。
患部が炎症を起こすことで、痛みやかゆみを感じるようになります。
「痛み」や「かゆみ」は感じなくても、何かしらの違和感を感じるというケースも多いです。
また、平常時は何も感じなくても性交時に痛みを感じるということもあります。
トリコモナス膣炎が悪化した場合の弊害
トリコモナス膣炎は膣内の炎症を引き起こしますが、単に炎症を引き起こして痛いというだけならそれほど問題はありません。
ですが、問題はそれだけにはとどまりません。
トリコモナス膣炎が悪化した場合には以下のような大きな弊害が生まれます。
- 不妊症
- 他の性感染症の感染率上昇
精子の通路である膣内環境が悪くなると、精子は子宮にたどり着くことが難しくなります。
結果として、卵子と精子が授精する確率が極端に減少し、不妊症になってしまうことがあります。
また、
膣内環境が悪化することによって、他の危険は性感染症(HIVなど)に感染する確率が高くなるという弊害があります。
トリコモナス膣炎自体には命の危険はありませんが、他の危険な感染症の発症率上昇を考えると、放置は危険な病気であると言えます。
トリコモナス膣炎の潜伏期間
トリコモナス膣炎の潜伏期間は感染から4~20日程度です。
トリコモナス原虫は最初に膣粘膜に寄生し、増殖をしていきます。
潜伏期間は4~20日程度と書きましたが、20日を超えればだれでも自覚症状が表れるわけではありません。
例えば、トリコモナス原虫に感染したとしても全く気が付かずに1年以上が経過しているという人もいます。
感染していても症状が弱い場合もあるので、誰しもが1ヶ月以内に気がつくわけではないということですね。
ということで、トリコモナス膣炎の潜伏期間はあくまでも参考程度に考えておいた方が賢明と言えます。
トリコモナス膣炎の感染率
冒頭でトリコモナス原虫に感染してる女性は非常に多いということを書きました。
では、実際にどれくらいの女性がトリコモナス原虫に感染しているのかというと、実に成人女性の3%~10%の女性がトリコモナス原虫に感染していると言われています。
成人女性の3%~10%が感染しているというのは、数ある性感染症の中でも非常に高い感染率であると言えます。
感染をしても全員に症状が表れるわけではありませんが、少なくとも注意が必要な人が1割もいるというのは頭に入れておくべきでしょう!
ちなみに、成人男性の感染率は女性の場合よりも大幅に低く1%~2%と言われています
まとめ
トリコモナス膣炎はあまり広くは知られていませんが、高い感染率という点から女性にとって注意すべき性感染症です。
また、悪化すると不妊症や性感染症の併発などのリスクがあります。
トリコモナス膣炎はオリモノの様子をチェックすることで、早期発見がしやすい病気です。
なので、もしオリモノの様子がおかしいと感じたら、すぐにでも性病検査を受けるようにしましょう!
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